カテゴリー「文学」の273件の記事

2018/06/18

ゲド戦記 影との戦い

894 ゲド戦記の第1巻に当たる。アーシュラ・K. ル=グウィン作、清水真砂子訳、岩波少年文庫である。
 通り名ではなく、真(まこと)の名、これはいったい何なのだ。
 「魔法」は世界・宇宙にとって、どのような意味があるのだろうか?
 第1巻が、影との戦い、それは自分の内面の戦い、とは地味だが、重要なことである。

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2018/05/31

三度目の殺人

885 映画を観て、この小説を読んで、モヤモヤは増え、深まる。これはいい傾向だ。
 いくつかの問いを整理しておこう。
①「三度目」の殺人とは何のことか?
②この裁判は控訴した方がいいか?(控訴しない場合、咲江は一生後悔するのではないか?)
③三隅とはそもそもどういう人物なのか?(殺人、怒り、落ち着き、優しさ、人の役に立つ、生まれてこない方がよかった……)
④咲江とはそもそもどういう人物なのか?今後どうなっていくのだろうか?(ウソをつく、父、母、友だち、三隅、孤独、北海道の大学……)

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2018/05/15

存在の耐えられない軽さ

879 私の好きな小説に出会えてうれしい。
 官能的なものと実存的なものの間を揺れ動く。背景に、プラハの春、ソ連軍の侵攻により、国と自由が奪われるという社会的に大きな不安がある。
 そのような中で、主人公のトマーシュは自由と幸せを求めていく。それは最後には小さく静かな安定したものであった。
 死んでいくものが多い物語だ。それゆえか、読後に哀切さが強く残る。

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2018/04/10

眠れる美女

81ro0iiakl 単なるスケベ爺のエロ話ではない。
 エロスとともに死のことを取り上げている。生命と死である。
 嗅覚に訴える訴える表現が多用されている。それが生々しさを生んでいる。
 4人だけの読書会だったが、楽しかった。

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2018/02/13

東京プリズン

850 赤坂真理著、河出文庫である。
 縦軸(縦糸)に、東京裁判、日本の戦後論、天皇、日本とアメリカの関係などがある。これが一本貫いている。
 それに織りなす横軸(横糸)がいくつかある。母と娘の関係、ヘラジカ(森といったもの)、アメリカとベトナムとの関係などである。
 これらを時空を超えて表現している。1980年代、2010年代と約30年を隔てた時代を行き来している。白昼夢や幻想によって異なる空間に入り込んでいく。
 これらによって、小説という織物になっている。日本の戦後について、いろいろ考えさせてくれる小説になっている。私としては面白く読んだ。

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2017/12/12

マイケル・K

836 J.M.クッツェー作、くぼたのぞみ訳、岩波文庫である。
 世界文学としての傑作である。クッツェーはノーベル文学賞受賞者である。
 主人公マイケル・Kは自らのモラルに従っている。
 自分が生きること、その生き方を自ら選んでいる。それは自由だ。
 庭師として、大地に生きている。大地に生かされ、大地に死のうとしている。

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2017/11/08

服従

828 ミシェル・ウェルベックの、2022年の仏大統領選挙をめぐる近未来小説である。(河出文庫)
ベストセラーになった。私は、全体的に興味深かった。
 特に後半の主人公フランソワがイスラム教に改宗するか、それとも国外脱出を図るかという、宗教的・精神的な緊張感のところは読みごたえがあった。
 これは、イスラム教対キリスト教、宗教対インテリ、服従対自由などの対立であり、ヨーロッパでは前者が勝ちそうな情勢にあるということを示唆している。これはそう単純でないことは当然だが、そうなりそうな不安感がヨーロッパにはありそうだということである。
 フランソワはそれなりに葛藤するが、最後は性や家庭、一夫多妻制などの魅力にころっと負けてしまった形になっている。このあっさり感、デレっとした感覚は妙にリアルであり、ちょっとゾッとする。女性軽視の思想がフランソワには最初から通底していたことにも気づく。
 19世紀末のデカダンス作家の代表・ユイスマンスとの対比は見事である。ユイスマンスは良き時代の個人的な改宗だったのかもしれないが。

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2017/10/17

ナミヤ雑貨店の奇蹟

825 東野圭吾のベストセラーになった小説の方を読んだ。(角川文庫)
 映画を観た後にこの小説を読んだわけだが、なかなかによかった。
 単に時系列の話ではない。時間・時代が錯綜している。伏線を張り巡らせてあり、それらが最後の方で繋がっていく。さすがにうまい作りである。
 丸光園という児童養護施設とナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治とはやはり縁があった……。それが奇蹟の源になっている。

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2017/10/09

リヴァイアサン

820 『リヴァイアサン』ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮文庫 である。
 自由というものを考えるきっかけにする。
 偶然が多い。それが人生というものかもしれないが…。


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2017/09/12

三月の5日間

813 「わたしたちに許された特別な時間の終わり」に所収されている作品である。(岡田利規著、新潮文庫)
 私にとっては既視感を覚えた作品である。そのあたりが私には面白い作品だった。
 一つは、私もある程度知っている渋谷の街が作品の舞台だということ。
 二つ目は、西麻布のスーパーデラックスでのパフォーマンスが哲学カフェを思い起こさせてくれたこと。
 三つ目は、渋谷のラブホテルでの4泊5日のことが、私自身が経験した4泊5日のエンカウンター・グループ合宿を思い出させてくれたこと。

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