カテゴリー「心理」の55件の記事

2020/05/19

愛するということ

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エーリッヒ・フロム著(鈴木晶訳)紀伊國屋書店発行の長年に渡るベストセラーである。

私が気に入ったところを抜粋する。(数字はページ数)

*たいていの人は愛の問題を、「愛する」という問題、愛する能力の問題としてではなく、「愛される」という問題として捉えている。(12)

*愛の問題とはすなわち「対象」の問題であって「能力」の問題ではない、という思い込みがある。(13)

*愛の能動的な性格を、わかりやすい言い方で表現すれば、愛は何よりも「与える」ことであり、もらうことではない。(43)

*愛の本質は、何かのために「働く」こと、「何かを育てる」ことにある。(50)

*私たちは、人間の魂の秘密に、つまり「彼」そのものであるような、人間のいちばん奥にある芯に、到達したいという欲求を捨てることができない。(53)

*未成熟な愛は「あなたが必要だから、あなたを愛する」と言い、成熟した愛は「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」と言う。(68)

*誰もが、「愛する」人以外は誰も愛さないことが愛のつよさの証拠だとさえ信じてしまっている。(76)

*一人の人をほんとうに愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである。誰かに「あなたを愛している」ということができるなら、「あなたを通して、すべての人を、世界を、私自身を愛している」と言えるはずだ。(77)

*たしかに異性愛は排他的である。しかし異性愛においては、人は相手を通して人類全体、そしてこの世に生きている者すべてを愛する。(89)

*誰かを愛するというのは、決意であり、決断であり、約束である。(91)

*私たちは一人ひとり異なっているから、異性愛は、一部の人にしか見られないような、特殊な、きわめて個人的な要素を必要とする。(91)

*愛の本質は協力体制という状態のなかに見られる。(141)

*二人の人間が自分たちの存在の中心と中心で意志を通じあうとき、すなわちそれぞれが自分の存在の中心において自分自身を経験するとき、はじめて愛が生まれる。……そうした経験にもとづく愛は、たえまない挑戦である。それは安らぎの場ではなく、活動であり、成長であり、共同作業である。(154)

*客観的に考える能力、それが理性である。理性の基盤となる感情面の姿勢が謙虚さである。(178)

*自分自身を「信じている」者だけが、他人にたいして誠実になれる。なぜなら、自分に信念をもっている者だけが、「自分は将来も現在と同じだろう、したがって自分が予想しているとおりに感じ、行動するだろう」という確信をもてるからだ。自分自身にたいする信念は、他人にたいして約束ができるための必須条件である。(183)

*重要なのは自分自身の愛にたいする信念である。つまり、自分の愛は信頼に値するものであり、他人のなかに愛を生むことができる、と「信じる」ことである。(184)

*他人を「信じる」ことのもう一つの意味は、他人の可能性を「信じる」ことである。(184)

*愛されるには、そして愛するには、勇気が必要だ。(188)

*愛するということは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである。(190)

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2020/04/28

居るのはつらいよ

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人にとても薦めたくなる本である。(東畑開人著、医学書院)

「ケア」と「セラピー」についての考察はかなり参考になる。

東畑さんのデイケアの体験に基づいているから、伝わってくる。

その体験を描く筆力には感嘆する。

今はまだできないが、この本から学んだことをいつかまとめたいくらいの気持ちである。

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2019/01/27

仕事なんか生きがいにするな

964 精神科医の泉谷閑示さんの本である。(幻冬舎新書) 教えられたことは多い。
*アレントの言った意味での「仕事」の復権や「活動」というものへの目覚め、そして忘却されて久しい「観照」というものを、たとえわずかであっても日々の生活の中に復活させることが大切である。
*愛とは、相手(対象)が相手らしく幸せになることを喜ぶ気持ちである。欲望とは、相手(対象)がこちらの思い通りになることを強要する気持ちである。
*「愛」が働く時、私たちは対象を深く見つめ、耳を澄まし、そこに潜む本質を感じ取ろうとする。これによって物事に秘められた真実が、見つめる者、耳を澄ます者に、静かに開示される。
*あえて無計画、無目的に、自分の行動を「即興」に委ねてみることによって、私たちの決まりきった日常が、ささやかながらもエキサイティングな発見と創意工夫に満ちたものに変貌する。これを「偶然に身を開く」と呼ぶ。
*「面倒臭い」と感じることを、むしろ積極的に歓迎してみる。

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2018/07/09

夜と霧

900 ヴィクトール・E・フランクル著、新版は池田香代子訳である。(みすず書房)
 フランクルのいう意味=価値の3つは有名である。
①創造価値(仕事等、ボランティア、作品制作、子育てなども含むだろう)
②体験価値(自然、芸術、愛などを体験すること。旅行、食なども含まれるかも)
③態度価値(変えられない厳しい環境の中でも示せる態度、言葉、表情など。他への思いやり、愛情など)
これらはdoingの価値である。
 
 自分では変えられない、運命のようなものがある。そこに苦悩が生まれる。強制収容所というものでなくても、我々は生まれを変えられない。生い立ちも、もう変えられない。総じて言えば、過去は変えられない。
 また、他の者ではなくて、なぜこの私がこの苦しみを持たなければならないのか?よりによって、なぜこの私がこの悩みを持たなければならないのか?この理不尽さに耐えがたくなることがある。この苦悩が自分に与えられている意味を考えざるを得なくなる。
 このような気持ちの時、運命や苦悩に対する自らの態度が問われる。その態度如何によって、そこに価値が生じる。それが態度価値である。

 beingの価値も考えたい。それは、ただ存在しているだけで価値があるとする「存在価値」である。それは説明できない。論証できない。無条件の価値である。(他との関係性の中で、ケアの活動の中で、浮かび上がってくる価値とも言えるが……)。

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2017/10/13

「死ぬ瞬間」と死後の生 ③

823 心に止めておきたい言葉はたくさんある。
*「救う」と「助ける」:助けることこそ真に人間のすべきことではないでしょうか。
*救いの手を出さずに、相手が自分で学ぶのを優しく見守ることです。愛とは、いつ補助輪をつけてやったらいいか、いつ外したらいいかを知ることです。それが愛です。補助輪を外すのはつけるよりもはるかにむずかしいです。でも結局は外さなくてはならないのです。
*学ぶべきことはいずれにせよ何らかの形で学ばなければならないということ、そして、学ばなければならない理由はあなた自身にあるということです。

(以下はこの本の解説にあたるようなところの文章です。)
〇E・キューブラー・ロスは、死とその過程という問題から離れて、命と生きることの方へと重心を移しつつあり、そういう自分の心の経過をいっそう深く見つめようとしていた。
〇E・キューブラー・ロスの仕事を、医学の変革だと言う人もあれば、新たなかたちの宗教だと言う人もいますが、どちらにしても、彼女はいつまでもこの世界に光を投げかけつづけることでしょう。
〇本書の最初の講演は1976年、最後は88年だが、その間に、彼女の心境には大きな変化があったため、本書の前半と後半とではずいぶんトーンが異なる。彼女を変えたもの、それは神秘体験、とくに臨死体験である。したがって、前半では死に至る過程が、後半では死後の生が語られているといっていい。

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2017/10/12

「死ぬ瞬間」と死後の生 ②

822 キューブラー・ロスは、生、死、死後の生について語っていく。
*この光は、物理的エネルギーや心的エネルギーではなく、霊的エネルギーの源です。人間にはこの霊的エネルギーを使うことも操作することもできません。それは、マイナスの感情がひとかけらもない存在領域のエネルギーなのです。つまり、現世にいたときに私たちがどんなに悪く、どんなに大きな罪悪感を抱いていようと、その世界にはマイナスの感情はいっさいないのです。しかも、「キリスト」とか「神」と呼ばれるこの光に裁かれることも絶対にありません。なぜなら、それは絶対的・全体的な無条件の愛なのですから。
*本来の自分とは、肉体、感情、知性、霊の四つの調和のとれた人間であり、本当の愛は要求もしないし、「もし……ならば」とも言わないということを知っている人間です。
*自分の一つひとつの選択に自分が責任をもつこと、必要なのはたったそれだけです。
*私は「死とその過程」の専門家ではありません。できれば50年後には「生と生きていること」の専門家と呼ばれたいと願っています!なぜなら、正しく生きた人にとっては、死は怖いものではありません。それどころか、死は最大の喜びであるはずです。私たちは死ぬことを心配するよりも、今日何をなすべきかを心配すべきです。もしあなたが今日、行動ばかりでなく、思考においても言葉においても、最高の選択をすれば、死の瞬間は祝福に満ちた輝かしいものとなるのです。

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2017/10/11

「死ぬ瞬間」と死後の生 ①

821 E・キューブラー・ロスは偉大な仕事をした。この本を読むと、彼女は講演の名手でもあったことが分かる。。
 いつかこの本で読書会を開きたいが、そのためにも印象に残ったところを記しておく。

*問題は「私はその人に、死が迫っていることを告げるべきだろうか」ではなく、「私には彼の声が聞こえるだろうか」です。
*「あなたは私に何かを言おうとしているのね。でも私にはそれが何だかよくわからない。もう1回言ってちょうだい。」「わからないから、説明してちょうだい。」
*もし子どもに本当のことを話してもらいたかったら、見当ちがいのことを言えばいいのです。そのうちに子どもはこちらのばかげた質問に飽き飽きして、本当のことを言ってくれます。
*子どものいちばん素晴らしい点は、こちらが何かへまをやると、すぐにそれに反応することです。
*子どもたちがやり残した仕事をやりとげるのを手伝うのです。
*「ロス先生、あとひとつ聞きたいことがあるの。生きるって何?死ぬってどういうこと。それからどうして小さな子どもが死ななくちゃいけないの。ダギーより。」

*人はみんな四つの部分からできています。肉体的な部分、感情的な部分、知的な部分、そして霊的・直観的な部分です。
*(ずっと重要な問題は)自分の愛している人に向かってはっきりと「ノー」と言う勇気です。

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2016/11/30

嫌われる勇気(再読)

Imagessfalqb3o 今回、岸見一郎さんと古賀史健さん(写真)のこの本を再読して、改めて印象に残ったところを書いておく。
 「課題の分離」は入り口であり、出発点だということである。基底にあるのは、「仲間」とか「対等」という意識である。また、目指すのは、相手との「win - win」との関係であり、さらに「シナジー効果」(相乗効果)である。
 相手を屈服させる必要はない。負けてもいい。もうリタイアしているのだし。自分の道を淡々と歩めばいい。
 「他者貢献」は大切だが、独りよがりになっていないかは気をつけなければならない。他者にも、自分にも、常に心が開かれていたい。柔軟に対応でき、変化させていきたい。

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2016/11/17

「いい質問」が人を動かす

730 弁護士・谷原誠さんの言わんとしていることには共感する。(文響社)
*人間は、他人から言われたことには従いたくないが、自分で思いついたことには喜んで従う。だから人を動かすには命令してはいけない。自分で思いつかせればいい。
*人をその気にさせるには質問をすることである。また、人を育てるには質問をすることである。
*質問をされると、①思考し、②答えてしまう。まるで強制されるように思考し、答えてしまう。

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2015/11/11

心理学の名著30 ⑧

531 第4章は「心理学の展開」である。法、文化、経済への展開である。
28 ロフタス『目撃者の証言』(1979)~記憶はどこまで信用できるか
*後からされた質問が最初の目撃に影響を与える。(事後情報効果)
29 ヴァルシナー『新しい文化心理学の構築』(2007)~普遍と個別を架橋する概念としての文化
*人間は外界と直接関わるのではなく、記号を通して関わる。記号は人にふさわしい行動をガイドするものであり、文化は記号を通じて人に属する。人は記号を取り入れたくなるような文化に身を投じる。
*一度失敗や挫折があっても、いろいろな支援を受けながら、目標を達成することができる。つまり複線経路が存在する。そして、こうした複線性は文化によって実現され、それこそがレジリエンス(弾力性、恢復可能性)にほかならない。(複線経路等至性アプローチ)
30 カーネマン(写真)『ファスト&スロー』(2011)~行動経済学の基本にある心理学的考え
*今後の心理学では、物語や時間的流れを重視することになるだろう。
*速考と熟考、経験する自己と想起する自己、これらの対立を越えたところに、人生の幸福を理解するためのカギがある。

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