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2016/10/27

怒り

Imagesgwjtzn4z 映画を観てから、原作の小説を読むという経験を久しぶりにした。
 吉田修一はうまい!新たな小説への意欲も感じられる。犯人探しが主ではないが、ミステリー性も含んでいる。3つの話が場所も異なり、お互いに交じり合わないのだが、読者はそれらの共鳴を深く感じる。
 小説では、映画と比較して、3つのストーリーの中で、それぞれの家族の関係が詳細に描かれる。家族の中での生と死が取り上げられる。これがいい。(映画では煩雑になるので、省略せざるを得ないところだろう。)
 映画と異なる点としては、ラストの方の高校生「泉」の行動と置かれている状況のあたりが印象に残った。(映画では泉をあまりに描きすぎると、泉が主人公になってしまうという恐れがあったのでは?)

 それぞれのストーリーの中に、怒りが存在するのは分かる。その中で最も怒りが溜まっているのは殺人犯の山神であろう。
 この山神が本当のところ、どんな人物なのか、この小説でも詳しくは分からない。読者の想像の領域でもあるだろう。また、この小説は山神が主人公でもないということを吉田修一が示しているとも言える。

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