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2014/02/14

『ヘヴン』をめぐって

209 『ヘヴン』をめぐって、著者の川上未映子さんと哲学者永井均さんとの対談である。(「六つの星星」川上未映子対話集に所収、文春文庫)
 『ヘヴン』のいい解説になっている。
 私なりの説明をするために、補助概念を使う。3つの価値、「真善美」、あるいは「知情意」である。
 百瀬は「倫理的」で、「真、知」の分野を担う。百瀬は自分は真理を突いていると考えている。(成功しているかどうかは別にして。)
 コジマは「宗教的」で、「善、意」の分野を担う。コジマは自分の行為は善だと考えている。(これも成功しているかどうかは別にして。)
 「僕」は「友達的」で、「美、情」の分野を担う。この場合、「情」とは、友情や感情のことを指す。著者の川上さんも、永井さんも「僕」のことを一番好いている。
 コジマは、「ヘブン」(僧侶的・宗教的)の面だけでなく、「うれぱみん」(友達的)なところを有しており、この二重性がこの物語を面白く動かしている。この「うれぱみん」的な要素がコジマから消えていくところに悲しさがある。
 ところで、真善美、あるいは知情意が生命力の中に渾然一体としてあるのが、子ども・若者である。それが、利(実利)や理(合理)などを社会の価値として、体現化・内面化していくのが大人である。
 この子ども・若者の価値が消えていくのが、この物語が描くもう一つの悲しさである。

 さて、現在の私はどのような心境で生きているか。
 美と情を重視したく思っている。それと大人の価値観は、実際上の人生としては決して悪くはないと考えている。

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