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2013/07/12

人間の羊

116 読書会で、大江健三郎の「人間の羊」(「死者の奢り・飼育」新潮文庫所収)を読んだ。
 日本の占領下の時代、外国兵にバスの中でズボンを脱がされ、裸の尻をむき出しにされた「僕」がいる…。
 このような身体(性的なもの)にかかわる、理不尽であるが逃れられない、そして多分一生残るであろう屈辱というもの、これは誰の身にも起こりうる事件・事故である。
 そして、「僕」に対して、執拗に正義を押し付けてくる「教員」がいる…。
 人間の感情に対する共感を欠き、ひたすらに正義のための犠牲になることを強いてくる「教員」に恐ろしいものを感じるし、絶望的にもなる。
 読書会で新たに気づいたこと2つ。
 「僕」は家庭教師をしており、「教員」と同様なインテリである。逃げ惑う「僕」と追いかける「教員」は、別者のようでありながら、インテリの二面性、葛藤を表しているようにも取れる。
 女性の中では最も登場している「外国兵と一緒にいる女」にしても、その他の「車掌」や「街娼」、直接には登場しない「母親や妹たち」、これらの女性たちを私は最初読んだ時は、ほとんど意識しなかった。しかし、描写は少ないが、それぞれが男たち、特に「僕」と「教員」の男2人の関係に対して、象徴的な意味合いを持っているかもしれないと思った。

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