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2012/11/01

ツナグ

Images70 今回の直木賞作家、辻村深月さんの代表作・人気作である。映画にもなって公開されている。
 一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」という者がいる……。
 設定は唐突だが、死について考えさせてくれる、なかなかの力作である。自分の死ではなく、人の死の話でも、自分とその人との関係の中で、死というものを見つめ直すことができる。
 4つのエピソードが描かれる。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……。
 生者と死者をツナグ仕事をするのが、高校生の歩美くんである。
 後半にこの4つの話が重層的に繰り返され、お互いに繋がっていくストーリー展開は、さすが辻村さんはうまいなぁと思う。
 4つのエピソード全てが甘い感傷というわけではない。死者に会って、さらに苦悩が深まることもある。そこまで描くのもまたすごい。
 若くして亡くなった歩美の両親に歩美はどのように会うのか。父か母か、どちらか一人にしか会えない。このあたりを最後まで引っ張るのも面白い作りだ。
 生者として、死者として、自分なら、誰に会うのだろう。このようなことも考えさせてくれる。
 この小説の気分にしばらく浸っていたいので、すぐには映画を見る気がしない。

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