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2010/08/31

こころの格差社会

7ns_31724723 副題が「ぬけがけと嫉妬の現代日本人」という海原純子さんの著書である。(角川oneテーマ21)
 心療内科医らしい海原さんらしい視点であり、共感を持って読んだ。病から人間を見るというのは消極的のようにも捉えられがちだが、貴重な視点だと私は思う。人間の奥深いところから、人間を理解しようとする姿勢は大切である。
 海原さんは最初に、なぜ幸福感は持続しないのか、と問う。外的なもの(金、贅沢、権力、名誉など)を求めていたら、当然持続しないだろう。それらは変化し、持ち続けていることもできない。
 (しかし、私が最近思うには、内面的なものも容易には持続できない。これを解決するために最近私が思っていることは3つ。①感謝する、味わう、楽しむ、愛するなどの基本的な気持ちは持ち続けるようにする。②内面的な幸福感にもそれなりに浮き沈み、上り下りがあることを自覚している。③現実的に課題は次から次へとやってくるということを認識している。)
 さて、海原さんはマズローの欲求段階の第4段階の承認欲求をある程度満たしたならば、次の第5段階自己実現欲求の段階に進むことを勧めている。自己実現とはそれまでの段階とは異なり、外面的なものの追求ではなくて、内面的な自分自身の欲求、まさにその人自身になるという欲求である。結果や成果よりもプロセスを大切にするものである。
 (私自身のことを言えば、この年齢になって初めて分かってきたことである。そして、その欲求はとても静かなものである。また、静かに他者へも向かっていく欲求である。)
 (当然、世代・年齢によって抱えている課題が異なるので、欲求も異なる。親と子では違うということである。若い世代は当面は第4段階までの外面的な承認欲求を満たす努力をすべきなのだろう。)
 本文の中で印象に残ったものをいくつか。
*ごほうびがほしくて賞賛がほしくて何かを努力している人には、自己実現はむつかしい。そうした人は、どんなに金銭をもち、賞賛と地位を得ても、マズロー的見解から見たら未熟で発展途上人間である。自己実現人間になるには自分のものさしを作ることである。
*抑圧するのではなく、さらけ出すのでもなく、「伝える」「表現する」というスタンスは大切だ。(そのためには怒りの感情だけでなく、多様で豊かな感情を持てるようになることだ。)
*「結果」を手放し、「プロセス」に目をむける。他者からの承認や賞賛、金銭、地位、名誉などの結果、成果ではなくて、プロセス、それをしている途中経過という目に見えないものに目をむけた時に、自分の無意識に存在する「なりうるもの」がうかびあがってくる。
*「なりたい自分」の無意識レベルの欲求から、「なりたい自分を生かす」「自分も他者も共に生かす」という意識レベルへ。

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