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2010/03/08

手紙、栞を添えて

Images 辻邦生さんと水村美苗さんの文学をめぐる往復書簡集である。
 多彩な作品の読書案内になっている。
 外国文学では、ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」、オルコット「若草物語」、シャーロット・ブロンテ「ジェーン・エア」、エミリー・ブロンテ「嵐が丘」、スタンダール「赤と黒」「パルムの僧院」、トルストイ「アンナ・カレーニナ」、ドストエフスキー「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」その他たくさんである。
 日本文学の方も、吉川英治「宮本武蔵」、夏目漱石「坊ちゃん」、二葉亭四迷「浮雲」、樋口一葉「にごりえ」「たけくらべ」、中勘助「銀の匙」、谷崎潤一郎「細雪」「春琴抄」、永井荷風「摘録 断腸亭日乗」、太宰治「津軽」その他たくさんである。
 豊かな知性と感性を持ち合わせた二人である。予想外の展開と深まりを、時にはユーモアを交えて見せてくれる。しかしながら、節度ある展開だから、読んでいる方は心地よい。
 対談でない、手紙というのは結構スリリングなところがある。話が噛み合わないまま、書き進めなくてはならない面もある。しかも、この二人、一度も面識がなく、最後の手紙のやり取りまで会うことをしなかった。それが、緊張感とともに、想定外の展開を生み、面白味も出している。
 辻さんの入院先の病院にお見舞いの品を届けに行きながらも、水村さんはあえて辻さんとは面会しなかったという徹底ぶりである。往復書簡終了後、2人は会う機会を持ったみたいだが、この書簡集出版1年半後に、辻さんは急逝した。
 この書簡集には文学を読む喜び、書く喜びが溢れている。それは生きる喜び、幸せに繋がっていくものであり、これによってこの書簡集は魅力を持っている。
 辻さん、水村さんとも文学少年、少女だったことが分かる。子どもの頃の読書の影響の大きさを改めて思った。
 因みに、私の子どもの頃は、シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンなどの謎解きものやジュール・ベルヌの冒険ものが好きだったのを思い出した。

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