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2009/03/23

事そのもの

Hegel 竹田青嗣さんは著書「人間の未来」では主にヘーゲルに則って論を展開している。その中でもヘーゲルの「事そのもの」は心に響く概念である。
 ヘーゲルは近代になって、それまでの宗教や民族などに代わって、新しい人間の欲望=近代的欲望として、「ほんとう」を目がけることを挙げている。その範型として、「恋愛」「正義」そして「事そのもの」を示している。
 確かに、恋愛や正義のほんとうを目指すことは近代以降のことであり、また近代人の欲望を大いにかきたてた。(竹田青嗣さんは恋愛、正義の後に「成功(サクセス・ストーリー)」を付け加えているのだが、金・地位・名声などのサクセスは確かに近代人には魅力である。このあたりの竹田さんの記述は要点を突いていて素晴らしい。)
 しかし、恋愛・正義・成功への欲望には限界がある。そこで、「事そのもの」である。
 事そのものとは、作品を創造することである。それは、いわゆる文化・芸術作品だけを言うのではない。教育とか福祉とか、土木とか、様々な領域において、金・地位・名声とは離れた事そのものであり、そのよりよいもの、本物を目指すことを言う。まずはその表現すること自体が喜びである。
 次に、その作品は公共のテーブルで批評にさらされる。それは厳しいことであるが、それがよりよいもの、本物を目指すことに繋がっていく。これが相互承認の豊かな連鎖になっていく。
 そうだ!よい作品を作るようにしよう。公共の中で、承認と批評に育まれながら。

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