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2006/02/09

サルトル

31652782 「サルトル」梅木達郎著(NHK出版)のキーワードは「直接性」である。
 本の副題も「失われた直接性をもとめて」となっている。
 意識が直接世界と接するという直接性、これをサルトルは求めたと言う。
 しかし、意識が直接に到達することができないものがありそうである。例えば、想像的なもの、時間的なもの、他者、個人を超越する社会や歴史などである。これらとサルトルは生涯格闘し続けたと著者は言う。
 昨年はサルトル生誕100年であり、多くの関連書が出版されたが、大部のものは読む気がしなかったので、この薄い本を選んで読んでみた。この本は直接性というキーワードを中心にわかりやすくかつ深く考察してあるので、感心した。
 ところで、サルトルの「直接性」は後の構造主義やポストモダンからは批判の的になった。後知恵的に言えば、確かに直接性の概念には限界を感じる。しかし、この直接性をとことん突き詰めたサルトルの仕事の価値は残る。我々はその土台の上にいるとも言える。
 後続世代から批判も多いサルトルだが、私はあのヒリヒリした実存感覚を体現しているサルトルが好きである。
 なお、著者の梅木達郎氏は48歳の若さで亡くなり、この本は遺作である。そのことも私に実存的な感覚を喚起させる。

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