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2005/06/07

漱石の笑い

05-06-07_19-44 夏目漱石の「吾輩は猫である」「坊ちゃん」は風刺が効いていて、痛快で、可笑しい。それに対して、後期の(と言っても、上に挙げた2作から10年くらいしか経っていない)「行人」や「こころ」は深刻な重いテーマになっている。
 漱石は根底に強いこだわりの気質を持っており、日本、近代、自我などの時代の課題を一身に引き受け、真正面から悩む人間であった。
 「吾輩は猫である」を書いていた頃は、イギリス留学から帰国し、経済的にも苦しい、大学教師もつまらない、家庭内でも癇癪を起こす、まさに精神的に追いつめられていた時である。
 心の底に辛いものがあるから、風刺をしたくなったり、笑い飛ばしたりしたくなる。笑わざるをえない、書かざるをえない状態なのである。そのあたりがわからないと、漱石の初期の作品はそのおもしろみがわからない。

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